今の時刻16:18。
上を向けば雲のない青が広がっていて、
顔を少し右に向けるだけでオレンジ色をした光に目を焼かれた。
学校の正門に立って少したったくらいだろうか
待ち人はまだ来ない…
なんでも先生に呼び出しをくらったのだとか…。
あれ程遅刻には気をつけるよう言っておいたのに、今月の半ばで既に5回目になる。
「はぁ…」
レイは何度目かのため息をついた
しかし呆れてのものではない、寒さによるものだ。
彼を待つという事には何も不満はない
別に待たされたところで構わないが、その理由が遅刻となると話は別だ。
(やはり一緒に登校すべきなのだろうか……)
レイは数日前に言われた言葉を思い出していた。
『じゃあレイが起こしに来てよ』
『は?』
『レイが一緒に登校してくれんなら絶対寝坊なんかしない。』
『………』
『レイ?』
『…考えとく』
『?』
シンは毎朝自転車で登校している。
変わってレイは、毎日専属の高級車が送り迎えをやっているのだ…
これはレイの躯を考えたうえでのギルの計らいだ。
ギルはレイの今の養父にあたる。孤児だったレイを拾い、ここまで育ててくれたギルの好意を今まで一度だって無下にしたこと等ない。
シンのお願いを叶えるには、初の試みをしなければならないのだ……
(シン…)
シンはレイにとって初めての友達であり、今のレイの交友関係は殆どがシンの仲介があっての事だった。
大切な、友達………
『ともだち』という枠組みから外れそうになるくらい、大切なのだ…。
シンと居ると………あったかい…………
「レーーーイ!!」
振り向けば、ちょっとだけ懐かしさを感じる黒髪がこちらに向かって走ってくる。
毎朝大変だとぼやいているくせっ毛がひょこひょこ揺れているのが見えた……
「シン、遅い」
「ぅう、悪かったって;;」
なんか今日に限って話し長くって!!!!!
と焦って代弁しようとしてくるシンをからかうのが最近のレイの嵌まり事になっている、……というのはシンには内緒だ。
シンを見ていると、暖かくなる…
シンと居ると胸が煩くなる…
シンの声を聞くと嬉しくなる…
「まったく、シンには敵わないな……」
レイはそう呟き微笑むと踵をかえした。
「え?何!?」
レイ何て言ったんだよー!!!
と叫びながらシンは後についていく
「シン」
「何??」
「明日までに自転車に荷台を付けておくんだな。」
「へ?」
ギルに何て言おうかな