音が
聞こえる………
――――――「心音」――――――
温かい
ふわふわの中で
もそり、と動く。
目の前で眠る彼にひたりと寄り添えば、その体温を感じることができる。
まるで彼と一体になれたようなこの感覚がブリングは嫌いではなかった
自分に向ける背に額を押し当てる。
もちろん彼が起きないよう配慮した圧力で、だ
とくん、とくん、と聞こえる
音………
これは…
(…生きている、…音………)
だ、と
誰かが言っていた。
誰だったかなど覚えていない
それは曖昧で不可思議な感覚だ……
何故かその言葉が気になった
(生きている…)
自分たちは同一の存在なのだから、いちいち生きているかどうかなど確認するまでもなく解ってしまうのだが
ブリングはこうして聴覚や振動による感覚で感じることのほうが好きだった。
(理由など知らない…)
(私には「好き」や「嫌い」という感覚は…まだ理解出来ないのに……)
ただ、この音を聞くと落ち着くのだ。
凪いだ心の波が静けさを取り戻すように……
とくん、とくん
ずっと聞いていたいと願う
たった一つの音
隣で眠る彼の音と体温だけが、唯一自分を落ち着かせるのだ…
ああ…
きっとこの感覚を
(安心する、というのだな………リヴァイヴが言っていた…)
また身じろぎをして、彼に近付く
(安心する……)
(デヴァインの生きている音が…)
その感情が
大切な片割れに「生きていて欲しい」という願いなのだと
彼が気付く事は、なかった